2016年12月25日

同一労働同一賃金で正社員と非正社員の待遇差許容ガイドライン?(2)

同一労働同一賃金で正社員と非正社員の待遇差許容ガイドライン?(1)

の続報です。

同一労働同一賃金とは、同一の仕事(職種)に従事する労働者は皆、同一水準の賃金が支払われるべきだという概念です。
正社員や契約社員、派遣社員、パート、アルバイトなどの雇用形態、性別、人種、宗教、国籍などに関係なく、労働の種類と量に基づいて賃金を支払うことです。

国際労働機関(ILO)では、この同一労働同一賃金の原則をILO憲章の前文に挙げていて、基本的人権の一つとされています。
世界人権宣言でも、「すべての人は、いかなる差別をも受けることなく、同等の勤労に対し、同等の報酬を受ける権利を有する」と規定されています。
国際人権法上でも、勤労権に関して『同一労働同一賃金』を明記されています。

というのが、本来の同一労働同一賃金というものです。

同一労働同一賃金で正社員と非正社員の待遇差許容ガイドライン?(1)

では、断片的な情報でしたが・・・

その後、同一労働同一賃金指針案(ガイドライン案)の詳しい内容が公開されました。
一部のニュースだけを見ていると、期待の気持ちからかメリットしか見えず、「同一労働同一賃金になるし良いことなのでは?」とつい思い込んでしまう方もいらっしゃるかもしれません。

しかしながら、そもそも「正社員と非正社員の待遇差を許容する」趣旨のガイドラインであるということを決して忘れてはならないと思います。

少なくとも、

労働者派遣法改正案と同一労働・同一賃金修正法案が衆院で可決
派遣社員に交通費が支給されないのは差別ではないのか?
公務員なら安定・安心?名ばかり公務員(官製ワーキングプア)の実態
「非正規だから」などと差別する会社は正しいのか?
労働者って誰のこと?正社員以外も労働者なの?

などについて、念頭に置いておいた方がいいのではないでしょうか?

今回公表されたガイドラインにおいても注意が必要な点が多々ありますので、関連記事をご紹介致します。


1. 「同一労働同一賃金」指針案の要旨 (日本経済新聞)

===ここから===

政府が示した「同一労働同一賃金」ガイドライン(指針)案の要旨は次の通り。

【前文】
▽ 目的
本ガイドライン案は、正規か非正規かという雇用形態にかかわらない均等・均衡待遇を確保し、同一労働同一賃金の実現に向けて策定するものである。

同一労働同一賃金は、いわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものである。

我が国の場合、基本給をはじめ、賃金制度の決まり方が様々な要素が組み合わされている場合も多いため、同一労働同一賃金の実現に向けて、まずは、各企業において、職務や能力等の明確化とその職務や能力等と賃金等の待遇との関係を含めた処遇体系全体を労使の話し合いによって、それぞれ確認し、非正規雇用労働者を含む労使で共有することが肝要である。


▽ 趣旨
本ガイドライン案は、いわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、待遇差が存在する場合に、いかなる待遇差が不合理なものであり、いかなる待遇差は不合理なものでないのかを示したものである。

この際、典型的な事例として整理できるものについては、問題とならない例・問題となる例という形で具体例を付した。
なお、具体例として整理されていない事例については、各社の労使で個別具体の事情に応じて議論していくことが望まれる。


【基本給】
労働者の職業経験や業績・成果、勤続年数などに応じて支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の能力を蓄積している有期雇用労働者またはパートタイム労働者には、その能力に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない。

また、一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。


▽ 問題とならない例
同じ職場で同一の業務を担当している有期雇用労働者であるXとYのうち、職業経験・能力が一定の水準を満たしたYを定期的に職務内容や勤務地に変更がある無期雇用フルタイム労働者に登用し、転換後の賃金を職務内容や勤務地に変更があるのを理由にXに比べ高い賃金水準としている。

基本給の一部について労働者の業績・成果に応じて支給している会社で、フルタイム労働者の半分の勤務時間のパートタイム労働者であるXに対し、無期雇用フルタイム労働者に設定されている販売目標の半分の数値に達した場合には、無期雇用フルタイム労働者が販売目標を達成した場合の半分を支給している。


▽ 問題となる例
基本給について労働者の職業経験・能力に応じて支給している会社において、無期雇用フルタイム労働者であるXが有期雇用労働者であるYに比べて多くの職業経験を有することを理由として、Xに対して、Yよりも多額の支給をしているが、Xのこれまでの職業経験はXの現在の業務に関連性を持たない。

基本給の一部について労働者の業績・成果に応じて支給している会社において、無期雇用フルタイム労働者が販売目標を達成した場合に行っている支給を、パートタイム労働者であるXが無期雇用フルタイム労働者の販売目標に届かない場合には行っていない。


【賞与】
会社の業績等への貢献に応じて支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の貢献である有期雇用労働者またはパートタイム労働者には、貢献に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない。

また、貢献に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。


▽ 問題とならない例
賞与について、業績等への貢献に応じた支給をしている会社において、無期雇用フルタイム労働者であるXと同一の会社業績への貢献がある有期雇用労働者であるYに対して、Xと同一の支給をしている。


▽ 問題となる例
無期雇用フルタイム労働者には職務内容や貢献等にかかわらず全員に支給しているが、有期雇用労働者またはパートタイム労働者には支給していない。


【役職手当】
役職の内容、責任の範囲・程度に対して支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の役職・責任に就く有期雇用労働者またはパートタイム労働者には、同一の支給をしなければならない。

また、役職の内容、責任に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。


【精皆勤手当】
無期雇用フルタイム労働者と業務内容が同一の有期雇用労働者またはパートタイム労働者には同一の支給をしなければならない。


【時間外労働手当】
無期雇用フルタイム労働者の所定労働時間を超えて同一の時間外労働を行った有期雇用労働者またはパートタイム労働者には、無期雇用フルタイム労働者の所定労働時間を超えた時間につき、同一の割増率等で支給をしなければならない。


【通勤手当・出張旅費】
有期雇用労働者またはパートタイム労働者にも、無期雇用フルタイム労働者と同一の支給をしなければならない。


【福利厚生】
▽ 福利厚生施設(食堂、休憩室、更衣室)
無期雇用フルタイム労働者と同一の事業場で働く有期雇用労働者またはパートタイム労働者には、同一の利用を認めなければならない。


▽ 慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除・有給補償
有期雇用労働者またはパートタイム労働者にも、無期雇用フルタイム労働者と同一の付与をしなければならない。


▽ 病気休職
無期雇用パートタイム労働者には、無期雇用フルタイム労働者と同一の付与をしなければならない。
また、有期雇用労働者にも、労働契約の残存期間を踏まえて、付与をしなければならない。


【その他】
▽ 教育訓練
 現在の職務に必要な技能・知識を習得するために実施しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の職務内容である有期雇用労働者またはパートタイム労働者には同一の実施をしなければならない。

また、職務の内容、責任に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた実施をしなければならない。


【派遣労働者】
派遣元事業者は派遣先の労働者と職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情が同一である派遣労働者に対し、その派遣先の労働者と同一の賃金の支給、福利厚生、教育訓練の実施をしなければならない。

また職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情に一定の違いがある場合、その相違に応じた賃金の支給、福利厚生、教育訓練の実施をしなければならない。

===ここまで===


2. どう変わる?待遇格差 「同一労働同一賃金」指針案解読(佐賀新聞)

===ここから===

政府が示した同一労働同一賃金の指針案には、同じ待遇にしなければならないケースと格差が容認されるケースの例示が盛り込まれた。

内容を具体例に置き換え、働く現場がどう変わるのか読み解いた。
(×は格差を認めず同じ待遇が求められるケース、○は容認されるケース)


【基本給】
○ 事例1
食品メーカーの総合職に採用されたAさん。会社には幹部育成のためのキャリアコースの一環として入社直後の2年間、直営店で勤務する決まりがあり、直営店のパートのBさんに教えてもらいながらレジを担当している。
同じ仕事をしているが、Aさんの基本給はBさんより高い。

(理由。Aさんは将来の幹部候補としていろいろな仕事を経験したり転勤したりすることが含まれている)


× 事例2
菓子販売店のクリスマスケーキの販売目標は1人100個。
達成すれば基本給に一定の成果給が支給される。
週40時間働く正社員のAさんは目標をクリアした。週20時間働くパートのBさんは50個販売したが、成果給は支給されなかった。

(理由。時間当たりの成果に応じて支払うべきであり、この場合は正社員の半分で目標達成)


○ 事例3
ある家電量販店は販売目標を達成できなかった場合、給与の一部を減額するペナルティーの仕組みが正社員だけにある。
正社員Aさんの基本給はパートのBさんより高い。

(理由。AさんはBさんよりもノルマ達成への責任を負っている)


× 事例4
契約社員のBさん。
勤務先の正社員は勤続年数に応じた基本給となっているが、1年ごとの契約更新を繰り返すBさんは、もう5年働いているが勤続年数を更新後の1年分しかカウントされていない。

(理由。勤務開始からの5年分を通算して基本給に反映しなければならない)


【賞与】
× 事例5
業績への貢献度に応じてボーナスを支給している大手企業。
正社員のAさんと契約社員のBさんは同じプロジェクトで協力し同じように貢献して売り上げをアップさせたが、Aさんにはボーナスが出てBさんには出ない。

(理由。同じ貢献度なら同様に支給する)


【役職手当】
× 事例6
同じチェーンのコンビニで、規模や従業員数、忙しさなど店長としての仕事は同じだが、正社員のA店長には役職手当が付き、契約社員のB店長にはない。

(理由。責任の範囲は同程度とみなせる。もし店の規模などが違うなら、役職手当もそれに応じた額にする)


【深夜・休日手当】
× 事例7
24時間対応のコールセンターの深夜勤務。パートのBさんは5時間勤務で、正社員のAさんは8時間勤務。
Aさんは深夜手当として時給に30%の割り増しが付くが、Bさんは働く時間が短いとの理由で25%しか付かない。

(理由。深夜に働くという負担は同じなので、割増率も同じにする)


【通勤手当】
× 事例8
契約社員Bさんは通勤手当がない。
正社員には手当があり交渉したが、会社から「契約社員は日給の中から払って」と言われた。

(理由。仕事の内容と関係がなく、出勤の負担は双方同じ。日給とは別に通勤費用を払う)


【福利厚生】
× 事例9
スーパーの正社員Aさんは身内が亡くなり、忌引を取った。
週5日働くパートのBさんは忌引が取れなかった。

(理由。身内の不幸は誰にでも起こることなので雇用形態で差をつけることは不合理)

===ここまで===


3. 「賃金節約」要員の非正社員に企業は本当にボーナスを出すのか?(PRESIDENT Online)
※以下は一部引用ですので、全文読みたい方は上記リンク先からご覧下さい

===ここから===

正社員と非正社員の賃金格差を是正する「同一労働同一賃金」の指針(ガイドライン)案が示された。

これまでは正社員ではないから給与が低くても当たり前と考える人が多く、裁判でも格差を容認するなど、日本は「同一労働同一賃金」ではなかった。
格差是正が実現すれば、今までよりも非正社員の待遇が大きく改善される可能性がある。

とくにボーナスは上がる可能性がある。
つまり、正社員と同じ貢献をしていれば同額を支給しなさい、貢献度が違うのであれば、それに見合った金額を支給しなさいと言っているのだ。

そのほか給与明細書には手当の名のつくものが結構ある。
指針では同じ仕事をしていれば、以下の手当も同じ額を支給しなさいと言っている。

(1)役職手当
(2)危険作業などの特殊作業手当
(3)交代制勤務などの特殊勤務手当
(4)精勤・皆勤手当
(5)時間外労働手当
(6)深夜・休日労働手当

非正社員の中にはいまだに通勤手当すら支給されていない人もいる
通勤手当は「有期雇用労働者又はパートタイム労働者にも、無期雇用フルタイム労働者と同一の支給をしなければならない」と言い切っている。

食堂、休憩室、更衣室などの福利厚生施設の利用を認めるのは当然であり、慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除・有休保障も正社員と同じにしなければならない。

職場の安全管理に関する措置・給付でも同一の支給をしなければならない。
企業では定期的に防災訓練を実施しているが、正社員だけが訓練に参加し、非正社員は仕事をさせることは許されない。

また、正社員には防災用ヘルメットが1人につき1つ支給されているが、非正社員には支給していない、あるいは防災ずきんのみという会社もあるが、これはとうてい許されない。

同一労働同一賃金で最も問題になるのは「基本給」の違いだろう。

たとえば同じ年に正社員に採用された人と非正社員で採用された人がいるとする。
指針では、ともに同じ仕事を担当している場合、基本給は同じにしなさいということ。

また、正社員が昇格し、給与が上がる場合、非正社員の能力が正社員と同じであれば、非正社員も同じように給与を上げなさいということだ。
仕事の内容や能力など前提条件が同じであれば非正社員の処遇が大幅に改善されることになる。

しかし、この指針では例外も設けている。
具体的には

(1)総合職という名のキャリアコースの違い
(2) 転勤・職務内容の変更の可能性

の2つである。

また、同じ職場で同じ業務を担当している非正社員の2人のうち、1人を正社員に登用し、職務内容や勤務地の変更があることを理由に非正社員に比べて高い賃金にすることは問題にならないとしている。

正社員の中には転居の移動のない社員や地域限定、職務限定の正社員も確かに存在する。
だが、ホワイトカラーの正社員の圧倒的大多数は総合職として採用され、転勤を含めていろいろな職場を経験していく人たちである。

仮にこうした人たちと非正社員の基本給の違いがあってもよいことになると、はたして正社員と非正社員の賃金格差は縮まるのかという疑念を抱いてしまう。

政府はこの指針(ガイドライン)案をもとに必要な法改正を進めて、2019年4月から実施する予定になっている。

本当に格差是正につながるのか今後の動きを注目していく必要がある。

===ここまで===


4. 非正規同一待遇へ指針、企業は抵抗 立証責任など課題残る(ロイター)
※以下は一部引用ですので、全文読みたい方は上記リンク先からご覧下さい

===ここから===

「同一労働同一賃金」の実現に向け、非正規労働者の差別に関する政府のガイドラインが示された。

将来的に非正規であることを理由にした賃金・待遇差別の禁止へ第一歩を踏み出したが、労働コストの確実な増加が予想され、企業側は抵抗姿勢をみせており、違法性の立証責任を労働側に求めている。

ガイドラインには法的根拠がなく、強制力もない。

また、ガイドラインが現実に適用されても、なお、実効性に疑問が残るとの声もある。
実効性の確保には、なお多くの課題が残っている。

連合では、ガイドラインによる合理的理由のない処遇格差の線引きは、現場での判断の参考資料と位置付けている。
ガイドラインで範囲を限定すべきではないという。

連合が求めるのは、労働契約法に総則的な規定を置き、現状でははっきりと書かれていない合理的理由のない処遇差別禁止を法律に明記し、実効性を高めるために、差別の「合理性」の立証責任を使用者側が負うこととしている。

しかし、この点で産業界との溝は深い。
経団連は、同一労働同一賃金という考え方に抵抗が強い。

「同一労働同一賃金の検討を進めるにあたっては、日本の雇用慣行にも十分配慮するよう繰り返し述べてきた」
「企業の負担につながれば、国際競争力を毀損することになるため、慎重な検討が求められる」

と述べている。
しかも、今年夏に経団連がまとめた方針では、差別が合理的かどうかの理由を企業が立証することには反対姿勢を示す。

立証責任を負わされると「企業は紛争回避のため、正規従業員と非正規従業員の仕事を明確に分けることが想定され、正社員登用の機会減少や、高齢者の再雇用後の活躍が阻害されるおそれがある」としている。

企業の抵抗の背景には、これまで低コストで労働力が確保できた非正規社員の待遇改善が、企業にとってコスト増となるためだ。
政府内でも実効性確保の大きな壁の1つとして、企業のコスト意識が壁になるとの見方が出ている。

===ここまで===


5. 同一労働同一賃金へ政府が指針案 格差固定の懸念も(朝日新聞)
※以下は一部引用ですので、全文読みたい方は上記リンク先からご覧下さい

===ここから===

正社員と非正社員の待遇格差を是正する「同一労働同一賃金」の実現に向け、政府はガイドライン(指針)案をまとめた。
指針案は基本給、賞与・各種手当、福利厚生、教育訓練・安全管理の4項目について、どんな待遇差のつけ方が「不合理で問題があるのか、否か」を示した。

賃金の骨格となる基本給については、「非正社員の経験・能力が正社員と同一なら同一の支給を、違うなら違いに応じた支給をしなければならない」といった基準を示した。
ただ、抽象的な表現が目立ち、「問題となる例」として列挙された項目も限られた。

労働組合の中央組織・連合は、待遇差をつける根拠を働き手などに説明する使用者の責任を大幅に強化するよう求めてきたが、指針案には明記されなかった。

指針に法的拘束力はない。

企業が格差是正に取り組むよう指針に実効性を持たせるため、政府は関連法を改正する方針。
指針は改正法の施行と同時に効力を持つ予定だ。

格差是正が進むかどうかは、今後の法改正の行方次第の面もあり、現時点では不透明だ。

指針案に従う企業が、待遇格差をつける理由を説明しやすくするため、正社員と非正社員の仕事や役割をはっきり分ける「職務分離」が広がり、「かえって格差が固定化する」といった懸念も出ている。

非正社員の賃上げに伴って、正社員の賃金水準が引き下げられる可能性もある。

===ここまで===


6. 同一労働同一賃金の名に値しないガイドライン案の見直しを求める(全国労働組合総連合)
※以下は一部引用ですので、全文読みたい方は上記リンク先からご覧下さい

===ここから===

「ガイドライン案」は、一定の改善点はあるが、肝心な部分で同一労働同一賃金の名に値しない極めて不十分な内容に止まっている。

最大の問題は、基本給について、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間に、職業経験や能力、業績・成果などについて一定の違いがあれば、差をつけることを容認したことである。

これでは、個別企業がさまざまな主観的理由を並べ立て、格差を続けることができることは明らかである。
実効性が疑われるだけでなく、正規雇用労働者との格差を容認・固定化するものといわなければならない。

賞与(一時金)についても、非正規雇用労働者などに支給しないことは問題だとしているが、業績等への貢献に応じて支給することを認めており、同様の批判を免れない。

問題点の第二は、「賃金等の処遇は労使によって決定されることが基本」として、「ガイドライン案」の策定を先行させたことである。
今後、法改正の立案作業がすすめられるが、「ガイドライン案」は具体的な事例を紹介し、「問題とならない事例」と「問題となる事例」を例示しているに過ぎない。

しかも、肝心の賃金部分では格差を容認・固定化するものとなっているので、必然的に法改正の立案も実効性を伴ったものにはなり得ない。

立証責任を会社側に負わせることも見送りの方向と伝えられている。

そもそも、日本の正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間には、賃金制度が全く別体系になっていることなど、身分差別ともいうべき大きな格差があるのであり、差別・格差を明確に禁止する強制力のある法改正こそが基礎に置かれるべきである。

問題点の第三は、同一労働同一賃金の目的を正規雇用労働者と非正規労働者の間の問題に限ったことである。
欧州では、同一労働同一賃金は男女間の賃金差別を是正する問題として発展してきた歴史を持つ。

その意味では、性別や雇用形態をはじめ、すべての差別を禁止するものとして制度化しようとしなかったことが、不十分な「ガイドライン案」に止まった要因といえる。

===ここまで===


7. 「同一賃金」指針案 実効性持たせ格差縮小へ本腰を 閉じる(愛媛新聞)
※以下は一部引用ですので、全文読みたい方は上記リンク先からご覧下さい

===ここから===

指針案は、正社員と同じ仕事をする非正規の賃金は「同一の支給をしなければならない」と明記した。

日本で今、全体の約4割を占める非正規労働者の賃金は、正社員の6割弱にとどまる。
せめて欧州並みの8割程度に引き上げることは、格差縮小と社会の未来のために不可欠な喫緊の課題である。

指針案には法的拘束力がなく、職業経験や成果、責任の範囲などに応じて支給内容に一定の差を設けることも容認した。
「正社員と非正規は、期待や役割が違う」などの曖昧な理由で格差を放置してきた企業が、人件費増に直結する「同一賃金」へ向け本気で取り組むかどうかは、極めて疑わしい。

正社員と非正規の基本給や賞与は「同一または相違に応じた支給」。
通勤費や深夜手当、出張などの手当や、食堂や休憩室など福利厚生も「同一に」…。

指針案の例示は具体的だが、ある程度明確な部分のみ。
退職金や定年後の継続雇用の待遇など「グレーな部分」には触れず、司法判断に委ねる方針という。
現場の混乱は想像に難くない。

労働側が強く求めていた「待遇の差がある場合の立証や説明」が企業側に義務付けられなかったことで、「無力化」が強く懸念される。

立場が弱い労働者が、企業に説明を求め待遇是正を要求するのは簡単ではない。
訴訟となればハードルはさらに高まろう。

同一賃金が、正社員の待遇切り下げや、非正規の正社員への転換を妨げる方便に使われぬよう監視を強めたい。

昨秋成立の推進法は、野党の「均等」案に与党が「均衡」の文言を付加、骨抜きにした経緯がある。
政権は「働き方改革」を打ち出し、長時間労働抑制や非正規の処遇改善を目指すが、政策全体としては企業優遇で、労働の質を下げ、非正規を増やし続けている。

改革が、非正規の消費拡大を促し、失速する自身の経済政策をてこ入れしたいという目的では本末転倒。
目指すべきは、個々の生活や働きがいを大切にする社会への転換であることを忘れてはならない。

===ここまで===


【参考】
よろしければ、以下も参考になさって下さいねー。


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posted by 西区地域労組 at 19:10| 雇われて働く人に関係するニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする