2015年04月26日

雇用契約や就業規則と労働基準法(労基法)ではどちらが優先されるか

「雇用契約書と就業規則の内容が違う場合は、どちらが上なんでしょうか?会社側は雇用契約書が上だから、雇用契約書の内容をちゃんと見てって言うんですけど、会社側が言っていることは本当に正しいんでしょうか?間違っているんでしょうか?」

「労働基準法(労基法)ではそう明記されているかもしれないけど、うちの会社では就業規則が優先と決まっているんだから、会社のルールに従うように言われたので諦めるしかないんでしょうか?」

「入社する時にこう言ったよね。ちゃんと守るって約束して同意書にもサインして契約したよね。契約は口頭でも成り立つし有効だよ。だから労働基準法(労基法)なんて関係ないよって会社に言われたし、同意書にサインもしてしまっているので、こういう場合はやっぱり我慢するしかないんでしょうか?」

「労働基準法(労基法)が適用されるのは正社員だけだから、労働基準法(労基法)に違反しようがしまいが、アルバイトやパートには関係ないんだよって言われたんですけど・・・」

「うちの会社は特別だから労働基準法(労基法)なんか関係なく、社長や上司の命令が絶対で、法律よりも何よりも優先されるって言われたんですけど・・・」

このような悩みを抱えて、西区地域労働組合に相談なさる方もたくさんいらっしゃいます。

「会社がこう言っているんだから、きっとそうなんだ」
「会社が間違ったことを言うはずがないから、会社の言うことが正しいんだ」

と、ついつい思ってしまいがちですが、それでは会社の思う壺です。
会社の言うことを決して鵜呑みにしないで下さい。

こういうことを平気で言う会社というのは・・・

労働基準法(労基法)を知らないか、労働者側が何も知らないだろうとたかをくくって、言いくるめようとわざと嘘をついているケースが非常に多いのが現状です。

これだけは絶対に覚えておいて下さい。

雇用契約や就業規則、社長や上司の命令などが、労働基準法(労基法)よりも優先されることはまず有り得ない

アルバイトやパートなどの雇用形態、日本国籍の有無、会社の規模や業種・業態、従業員数、資本金の額などに関係なく、極々一部の例外を除いて、労働基準法(労基法)は強制的に適用され、労働者は労働基準法(労基法)によって保護される


ということを。

これだけではよくわからないと思いますので、もう少し詳しく説明しますね。


● 労働基準法(労基法)は、強制的に適用されるもの
会社側がどう言い張ろうと、うちの会社は特別だから適用されないなどと従業員に言っていようと、会社側がどんなに拒否しようと嫌がろうと文句を言おうと、雇用契約や就業規則にどう書いてあろうと、同意書にサインしようがしまいが、強制的に適用されるのが労働基準法(労基法)です。

労働基準法(労基法)というのは「強行法規(強行規定)」ですので、社長や上司の意思などに関係なく強制的に適用されます。
労働基準法(労基法)が適用されない、または一部のみ適用されるケースというのは、本当に極々一部だけ(船員、同居の親族、家事使用人、国家公務員)です。

ですから、アルバイトやパートなどの雇用形態、日本国籍の有無、会社の規模や業種・業態、従業員数、資本金の額などに関係なく、労働基準法(労基法)は強制的に適用されます。


● 労働基準法(労基法)は「最低基準を定めたもの」
労働基準法(労基法)というのは、あくまでも「最低基準を定めたもの」です。
最低基準を定めたものですから、労働基準法(労基法)の基準に達していない雇用契約も就業規則も社長や上司の命令も無効です。
(労働基準法(労基法)を上回る雇用契約や就業規則に関しては有効)


● 労働基準法(労基法)を下回る雇用契約や就業規則は無効
無効と言っても、会社との雇用関係がなくなるわけではありません。
雇用契約や就業規則そのものが全て無効になるということでもありません。
労働基準法(労基法)の基準に達していない部分のみ無効になるということです。

実は、ただ無効になるだけではありません。
労働基準法(労基法)の基準に達していない部分に関しては、労働基準法(労基法)によって強制的に上書きされます。

例えば、雇用契約書に「一日の所定労働時間は12時間」などと明記されてあったとします。
この部分が無効になり、労働基準法(労基法)で定められている一日の法定労働時間は8時間ですから、「一日の所定労働時間は8時間」に強制的に上書きされるということです。


● 労働基準法(労基法)の優先順位が最も高く最も強い
優先順位は以下の通りで、労働基準法(労基法)の優先順位が最も高いです。
つまり、労働基準法(労基法)は、就業規則や雇用契約よりもはるかに強い力を持っているということです。

1. 労働基準法
2. 労働協約(労働組合と会社の間の取り決め)
3. 就業規則
4. 雇用契約

例えば、雇用契約と就業規則で比べた場合、就業規則が最低基準となります。
もしも雇用契約が就業規則の基準を下回っていたら、雇用契約のその部分に関しては就業規則のルールが優先されるということです。
(就業規則の基準を上回っている雇用契約の場合は、その雇用契約が優先)

もしもその就業規則が労働基準法(労基法)の基準を下回っていたら、その就業規則よりも労働基準法(労基法)が優先されるということです。
(労働基準法(労基法)を上回る雇用契約や就業規則に関しては、その雇用契約や就業規則が優先)

また、労働基準法(労基法)の基準をかろうじて下回ってはいないものの、雇用契約や就業規則に定められている労働条件を良くしたいといった場合に、労働協約を結ぶという使い方もできます。

会社との間で労働協約を締結できるのは、労働組合だけです。
労働協約は、労働協約の締結をした労働組合の組合員と会社側との間で効力が発生します。
(お勤めの職場の4分の3以上の労働者が労働協約の締結をした労働組合の組合員の場合は、労働組合に加入していない人にも労働協約の効力が及びます)

社内に労働組合がない場合であっても、自分たちで新たに労働組合をつくるという方法があります。
労働者自ら労働組合をつくることに対して、社長や上司が反対することはできません。
労働者が労働組合をつくることに反対する行為自体が憲法違反だからです。

自分たちで新たに労働組合をつくるのはどうもハードルが高いといった場合には、西区地域労働組合のような合同労組(地域労組)に加入するという方法もあります。
労働組合をつくる場合と同様、労働者が労働組合に加入することに対して、社長や上司が反対するというのは憲法違反です。

いずれにしても、労働組合の組合員として会社側と交渉して労働協約を締結すれば、労働協約の効力が発生します。
すると、締結した労働協約が最低基準となり、雇用契約や就業規則に定められた労働条件よりも労働協約が優先されるというわけです。


【参考】
よろしければ、以下も参考になさって下さいねー。


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posted by 西区地域労組 at 21:45| 知ってトクする!こんな話あんな話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする