2010年04月20日

有給を取得したくても取得できない原因とは?

「有給なんて、取れたら苦労しないよ・・・」
「一週間連続の有給休暇なんて、夢のまた夢だよ」
「旅行を理由に有給申請してももらえそうにないから、親戚の誰かを病気にするか殺すかするか」

「派遣やってると、有給なんて申請できっこないよ」
パートやアルバイトには有給休暇なんて関係ないし」

「休んだら、クビになっちゃうよ」
「休むと、他の人に迷惑をかけちゃうし・・・」

「ちょっと熱が出たぐらいで、休むわけにはいかないよ」
「子供を病院に連れて行きたいのは山々だけど、今日は出勤しないとダメだから・・・」

こんなことってありませんか?

昨今・・・

「ワーク・ライフ・バランス」

という言葉が浸透しつつあるようですが・・・
浸透しつつあるのは言葉だけで、実際は夢物語・・・
などと感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

どうして、休みたくても休めない状況に陥ってしまうのでしょうか?
有給があっても取得できないのは、どうしてなのでしょうか?
「働くために食べている」わけではないはずなのに、どうしてこんな状況に陥ってしまうのでしょうか?

どうすれば、「休みたいのに休めない」といった状況から、脱却できるのでしょうか?
そのためには、何が必要なのでしょうか?

そんなことを改めて考えさせられる記事を3つ、ご紹介しますねー。


1. 「有休の取得促進でガイドラインが改正されました。(毎日新聞)」

===ここから===

厚生労働省は1日、有給休暇の取得促進や労働時間の短縮を目的に、「労働時間等見直しガイドライン」を改正した。
過去最悪レベルで推移している過労死・過労自殺の原因となる長時間労働の是正や、少子化対策の一環としての「ワーク・ライフ・バランス」などの実現を目指している。
改正の背景を探ると、仕事を巡る「休めない事情」が浮かび上がる。

ガイドラインは、事業主が労働時間短縮などで取り組むべき事柄を定める。
改正では

(1)労使が有休取得状況を確認し、取得率向上の具体的な方策を検討する
(2)数字を挙げて取得目標を設定する
(3)計画的に有給休暇を付与する制度を活用し、連続休暇を促進する

−−などが盛り込まれた。

有休をいかに取得させるかが、改正の大きなポイントだ。

厚労省の調査によると、有休の取得率は1988年には50%だったが、バブル経済の時期に上昇し、92、93年には56・1%となった。
しかし、その後は下落に転じ、2000年には50%を割った。
07年は46・7%、08年は47・7%と低水準で推移している。

有休の付与日数は、88年の平均15・3日から08年には同18日と増えたが、有休取得率は下がり続け、付与日数の増加は意味のないものになっている。
また、年間総実労働時間は08年度が1813時間と、95年度から100時間近く減った。

だが、減少の大きな要因は、パートなど短時間勤務の非正規雇用労働者の増加。
正社員に限ると1996時間(08年度)で、2000時間近い長時間労働が続いている。

2年前にIT系企業に新卒で就職した男性(25)は

「2年目に有休を取ろうとしたら、上司に『有給休暇を申請した社員なんて見たことがない』と嫌みを言われた。とても取れる雰囲気ではない」

とこぼす。

別の入社4年目の食品関連の女性は

「先輩たちが取らないので、取りづらい。有休を取るとマイナスの査定が付くといううわさもある」

と語る。

厚労省は09年度に公表した労働時間に関する意識調査で、有休を取ることに、ためらいがあるかどうかを聞いている。

「ややためらいを感じる」が42・1%で最も多く、
「ためらいを感じる」(22%)、
「あまり感じない」(25・6%)、
「まったく感じない」(9・8%)

となっている。

3人に2人は有給休暇を取ることに「ためらい」を感じていた。

ためらう理由(複数回答)は

(1)みんなに迷惑がかかる(67・3%)
(2)後で多忙になる(41・3%)
(3)職場の取りづらい雰囲気(34・4%)

−−の順で、上司や査定を挙げる人も多い。


厚労省勤労者生活部は

「企業の取り組みとともに、労働者もためらう意識の変革が必要だ」

と分析する。

一方で、連合が開設した労働条件をチェックするサイトの集計結果(3月12日現在)では、有休取得に関して会社側に違法行為があったとする回答が、参加者の約半数の1万件以上あった。
連合の非正規労働センターの総合局長は

「いかに有休が取りづらく、雑に扱われているかが分かる。労働者の意識の前に、経営者こそ意識を改めるべきだ」

と分析する。

東京都内で労働相談を受けている労組役員は

「正社員の非正規への置き換えが進む中、正社員には仕事が集中して有休が取れず、職場もピリピリした雰囲気になっている。強制力のないガイドラインで有休取得が増えるかは疑問。過重労働を防止するには、強制力が必要では」

と話す。

有休取得、労働時間の短縮は労使、社会の大きな課題になっている。

===ここまで===


2. 「有休すら取りづらいけど… 「休暇分散案」のリアリティは?(R25)」
※一部抜粋

===ここから===

「大型連休分散を検討する前に、本当に休暇が取れるのかリアルなシミュレーションをしないと効果は不明です」

とは、社団法人日本観光協会・丁野朗総合研究所長。
実は、3連休の固まりを1年の中にいくつか作るという現行のハッピーマンデー制度自体、3連休と有給休暇を足して四季ごとにプチバカンスを可能にしようという発想で作られた分散化策だという。

にもかかわらず、現状、僕らは…。

「日本では、2週間のバカンスを取れる人がいる一方で、有給休暇制度もない人が勤労者の3分の1もいます。先進国でこんなに休暇格差が激しい国はありません。それに、制度はあっても実際に休暇を取っている人が少なく、年間の平均宿泊日数はわずか2.4泊(平成20年度)。どんな制度を用意しても実際に休暇を取れる仕組みを作らなければ絵に書いた餅になりかねません」

欧米は日本に比べて休暇が取りやすいと聞くけど、何が違うんでしょう? 

「欧米の多くの国では従業員に有給休暇を取得させることを企業の義務と定めており、取らせないと企業が罰せられるという仕組みが主流となっています」

厚生労働省も、年次有給休暇の取得率向上を促す指針を事業主に対して広報していくという。
しかし指針は事業主の義務ではない。

まずは実際に休暇を取れる制度を整え、併せて分散案を検討してくれれば、

“国民の生活が第一”

に考えられた休日改正案になるのかもしれない。


===ここまで===


3. 「“休ませてください”が言えない……こんな雰囲気が漂う職場の問題点(Business Media 誠)」

===ここから===

私は会社員のころ、ズル休みをしたことがある――。
38歳まで会社員をしていたが、通算で20回は経験している。
いずれも上司に連絡をあらかじめ入れて、「有給休暇を取らせてください」と伝え、了解はもらっていた。
そう考えると「有給休暇の消化」とも言える。

「ズル休み」と書いたのは、有給を取る理由が嘘だったからだ。
例えば、次のようなものだった。

・親戚の法事に出る。
・親戚に不幸があった。
・風邪で熱が下がらない。 
・全身にジンマシンが出て、なかなかひかない。
・コンタクトレンズを落として見えない。

これらを聞いた上司は何も言わずに、「有給休暇申請書」に認印を押していた。
なぜ、上司たちは「嘘をつくな!」と言わなかったのだろうか。

それは端的に言えば、有給の消化は労働者の権利だと法で定められているからだ。
もちろん日数などに上限があるが、その範囲内であれば管理職は有給休暇の申請を受けたとき、よほどのことがない限り、認めるものだ。


私は、なぜ嘘をつかざるを得なかったのか。
勤務していた職場では「明日は有給を取らせていただいて……」とはなかなか言えない雰囲気があった。


私としては、つまり、有給を消化する大義名分が欲しかったのだ。
だから、前述したような理由を白々しく伝えていたのだ。

さて、この有給を取ることが言えない雰囲気=言論が不自由な職場を具体的に考えてみたい。

これは多くの職場で増えているうつ病や精神疾患、さらにはイジメなどとも関係がある

と私は見ている。

言論が不自由な職場を作っている理由として、少なくとも2つのことは挙げられると思う。

1つは、あいまいな人事評価である。

多くの会社の人事評価は2つの軸(業績と行動)で成り立つ。
「行動評価」の「協調性」「責任感」などの評価の基準はあいまいである。

上司がそれらを拡大解釈することがありうる。
例えば、部下が上司に「そのお考えは誤りです」と述べたとする。
このとき、心の狭い人は「あいつは協調性がない」と残念ながら評価しかねない。

評価をあいまいにすると、経営側は社員をコントロールしやすくなる。
社員からすると「こういう行動をとると、まずいな。だから、黙ろう」などと思うもの。

それが行き過ぎると、職場で正論が言えなくなる。
少なくとも、そうしたムードが漂い始める。

こうした言いたいことが言えない職場を破壊してくれるかもしれない――。
このように期待したのが、成果主義である。
1990年代後半にこの制度が多くの企業で導入されたが、経営側は依然として行動評価をなくそうとはしない。
私としては残念だが、これは事実である。

依然として物申すことができないムードが漂う職場のままであり、その中での成果主義でしかなかったのだ。
「有給の消化」などが言いにくいことも、こういった背景があるのではないだろうか。

中には、堂々とそれが言える職場もあるだろう。
それこそ

「言論がある程度、自由な職場」

であり、私は素直にいい会社だなと思う。

さらに、もう1つ考えてみたいことがある。

多くの会社員は、職務やその責任範囲があいまいな環境で働いている。
一部の労働学者風にいえば、これは「フレキシビリティー(柔軟性)」と言える。
これもよく考えると、「有給の消化」が言いにくい職場をつくっている1つの要因である。

日本企業の職場は、実に柔軟である。
例えば、上司が自らの判断ミスで仕事が後手後手になったとき、部下は必ずしもそれを支える必要がない。

ところが、それぞれの職務や責任範囲もあいまいであるがゆえに、そのようなときは「私がお手伝いします!」と言える人が「優秀」となりがちである。
ややオーバーな捉え方かもしれないが、これに近いムードを漂わせているのが多くの職場ではないだろうか。

上司の判断ミスにより残業をするようになったときも、不思議と部下はそれにつきあわざるを得なくなる。
そこで「私は自分の仕事を終えた」とさっさと帰ると、ひんしゅくを買いがちである。
ましてや、「明日は有給を取らせてもらいます」とはどうにも言いにくい。

こういうことが積み重なり、言論の不自由な職場になる。
かつての私のように、「親戚で不幸が……」といった切り口で申請することになるのである。

多くの企業は職務があいまいな職場に、成果主義を導入し、目標管理を行っている(目標管理は成果主義以前から行われていた)。
そして、目標管理の結果とボーナスなどを連動させようとする。
例えば、今年度の上期で5000万円稼ぐことを目標として、それが達成できたら、ボーナスが〇万円上がるという具合にである。

ところが、ここに1つの問題がある。

目標管理とは、会社やその部署の目標と社員個人の目標をすりあわせをすることが前提となる。
しかし、前述したように社員たちの職務があいまいなままでは、悲しいことに皆は会社や部署の数字をそのまま受け入れることになりがちなのである。

ここで職務が明確になり、権限もクリアになると、上司とガチガチの交渉が可能になる。
例えば、上司が「今度は部署の目標が上がった。君には1億円を稼いでほしい」と言ったとする。
その社員は「これまでの職務や権限は、あくまで5000万円を稼ぐものだった。
1億円ならば、それに伴い、職務も権限も変えていただきたい」と言えるのである。

そこで、上司は「生意気な奴」と思うのではなく、むしろ「こいつは頼もしい」と思わないといけない。
上司は部下とガチガチの交渉をしていく中で、双方が思考を磨き、言葉を磨く。
それがマネジメント力を強くしていくのである。

このような積み重ねで、職場は一段と職務とその責任の範囲が明確になっていく。
人事評価も「業績」の方にもっと重きが置かれ、あいまいな「行動評価」が姿を消していく。

つまり、本当に職務遂行能力のみで競い合うことができる。
こういう方向に段階的にシフトしていくことが、言論の自由な職場をつくることになるのではないだろうか。

===ここまで===


【参考】
よろしければ、以下も参考になさって下さいねー。


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posted by 西区地域労組 at 22:00| 雇われて働く人に関係するニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする