2009年12月13日

なぜ会社は辞表(退職願・退職届)を書かせようとするのか?

明らかに解雇としか思えないのに、手続きに必要だからなどと言って辞表を無理やり書かされたり、離職票に「自己都合」と書かれたり・・・
そんな話が後を絶ちません。

企業側は、解雇ではなく自己都合退職にしたい。
それは、一体どうしてなんでしょうか?

その背景には・・・

このような事情があります。

「クビだ!」等と言われた時、やるべきこととやってはいけないこと

とも深く関係し、非常に参考になりそうですのでご紹介いたします。


なぜ会社は辞表を書かせようとするのか --- 解雇との違い(Business Media 誠)

===ここから===

先日、特定社会保険労務士にこんな質問をした。

「会社は辞めさせたい社員を解雇するのか、それとも辞表を書かせるのか」。

即座にこう答えた。

「約8〜9割の会社が、解雇通知を出すことを避けたいと思うはず。その代わりに、その社員には辞表を出してもらいたいと願うだろう。それが、後々のトラブルを防ぐと考えるからだ。経営者や役員は、会社員が想像する以上に労務トラブルになることを避けようとする」

会社は解雇したことにより、社員から解雇無効などで訴えられることを警戒しているのだ。
言い方を変えると、狙った社員には執拗(しつよう)に辞表を書かせるように仕向けてくるとも言える。


会社の「解雇ではなく、辞表を取りに来る」というアプローチを裏付ける調査結果がある。
若い労働者を支援するNPO法人の「POSSE」(ボッセ)は、若い失業者を対象にアンケート調査を行った。

調査は、30代までの若者445人を対象に実施。そのうち321人が、「自己都合で退職した」と答えた。
しかし、その4割近くは上司から厳しく叱責(しっせき)されたりするパワーハラスメントや賃金不払いなどを理由に退職していた。
会社としては、このようなきわどいことをしてまで社員が自らの意思で「辞めた」という事実を作りたいのである。


● 大企業が解雇にできないカラクリ

会社が辞表にこだわる理由を「助成金」や「退職金」の観点からとらえると、より実態が見えてくる。
助成金とは、企業などが一定の条件をクリアすれば、国からもらえるお金のこと。
返済不要であり、利子もかからない。
その意味で、銀行のような金融機関から受ける融資とは大きく異なる。
このお金は、事業主(会社などの経営者)が支払っている雇用保険料からまかなわれている。

トライアル雇用助成金(労働者の仕事を適正に判断してから正式に雇用する制度。この制度を利用した会社に対し、助成金が支払われる)を例にこう説明する。

「この助成金の受給要件の1つに、特定の労働者(40歳未満の人や母子家庭の母など)のトライアル雇用終了までの間に解雇がないことが挙げられている。つまり安易に解雇すると、この助成金をもらうことができなくなるかもしれないのだ」

数カ月前に取材した東京都労働相談情報センター(旧労政事務所)のベテラン相談員も、こう言っていた。

「中堅・大企業の場合、かなりの額の助成金を国からもらうことを想定した上で、毎期の総額人件費の管理が成り立っている。このカラクリを踏まえると、よほどのことがない限り、正社員の解雇はできない。おのずと、辞表を書くことを求めるでしょう。いま、大企業で大規模なリストラが行われているが、そのうち解雇されるのはほんのごく少数。大多数の人が辞表を書くことで退職している」

ここで、大切なことを述べたい。
時おり、経済評論家などが「小さな会社はモラルが低く、大企業は高い」と言っている。

私は解雇の観点からとらえると、それは説得力に欠ける見方だと思う。
歴史の浅いベンチャー企業や中小企業を取材すると、経営者から確かに「社員を解雇をした」と聞く。
そのときに質問を投げ掛けると、経営者が助成金の存在を知らないことが多い。
たとえ知っていても、人事部などが社内にないために国に受給の申請をする時間的な余裕がないのだという。

多くの中小企業は大企業のように助成金をもらい、経営を安定化させるカラクリを知らない。
このあたりの考察をすることなく、「中小企業は解雇をするからモラルが低い」と批判をするのは論理に無理があるのではないか、と私はかねてから思っている。

助成金に加え、退職金のカラクリもおさえると会社の魂胆が一層見えてくる。
退職金は規定(賃金規定)などを確認しないと、分からないケースがあるが、
「解雇など会社都合退職の場合、その社員の退職金は自己都合のときよりも増えるはず」(杉山氏)。

会社都合で辞めた場合、退職金は自己都合のときよりも2〜3割ほど多くもらえるだろう。
だからこそ会社は解雇ではなく、辞表を書かせようとするのだ。


● 会社が行う精神的虐待

会社が辞表にこだわる理由として、労務トラブルを避けたいことが挙げられる。

これは、解雇を受けた社員が労政事務所やユニオンのような労働組合、さらには労働局雇用均等室や労働基準監督署などに訴えることを意味する。
これらを総称して「第三者機関」と言う。

会社というのはたたけばホコリが出るので、経営陣は第三者機関を警戒する。
社内の問題は社内で解決したいのである。
そうすれば、ナアナアにできる。

第三者機関が入ると、それができない。

だから、会社は解雇ではなく、辞表にこだわるともいえる。
辞表であれば、本人の意思で辞めることを意味するのだから、第三者機関は会社に入りにくくなるのだ。


数カ月前、労働基準監督署の監督官や労政事務所の相談員を取材した。
経営陣は、相談員や「解雇は不当」などと告発した社員に対し、次のようにののしることがあるという。

「飼い犬(告発した社員)に手をかまれた。あなた、責任をとれよ!」
「会社のことをぺらぺら話して、(告発した社員が)ひとりでいい子ちゃんぶっている」
「こういうところ(監督署など)では自分の非を伝えることなく、会社のことをなじっている」 
「君自身がすべての問題の元凶。早く、責任をとれよ!」
「君の話は、 まるでト書きの小説みたい。みんな、嘘だ!君は、ここまでして自分を正当化しようとしている」

いずれも、直接、本人に言うのである。
監督官や相談員の前で言うのだ。
信じられないだろうが、事実である。

なぜ、このような言葉を浴びせるのか。
社内の問題を外に持ち出した社員を“危険分子”として扱うことで、精神的になえさせることにある。
そして他の社員への見せしめである。


日本労働弁護団に籍をおく弁護士は

「第2、第3の危険分子(第三者機関に訴えた社員)を生まないために、その社員を徹底的になじる」

のだという。

「ハローワークに提出する離職票の離職理由は、確認したほうがいい。そこを会社都合であるにも関わらず、“自己都合”と記入している会社も一部にある。会社員がはまりやすい罠でいちばん多いのは、“あなたは会社にこんな損害を与えた。だから、辞めてもらう”と懲戒解雇をちらつかせるパターン」

かつて私が取材した会社のケースでいえば、懲戒解雇をするかのように社員を脅していた。
そして「辞表を書けば、解雇は避けることができる」となだめて辞表を書かせようとする。
執拗に、辞表にこだわり抜くのだ。

ここまでくると、ペテンと言えなくもない。
あなたの会社は、まともだろうか。

===ここまで===


ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪

===ここから===

ブラック企業は解雇の規制をまぬがれるために、社員が「自ら辞めた」という形をとろうとする。

労働者に「一身上の都合で辞めます」と一筆書かせることで、訴訟リスクを軽減しようというのだ。
もし労働者に解雇は不当だったと争われそうになったら、「こちらには証拠がある」と強弁する。

更に、こうした訴訟リスクを避ける手口が高度化している。
それが「戦略的パワハラ」だ。

組織的にパワハラを行い、精神的に追い詰められた労働者が自ら辞めるのを待つ。
会社から「辞めてほしい」とは一言も言わずに、目的を達成することができる。

しかも、その弊害は精神的な疾病にかかってしまう「戦略的パワハラ」の方が深刻だ。
職だけではなく、健康も失ってしまうことになる。

自己都合退職への追い込みは、「辞めろ」とという退職強要によって行われることばかりではない。
むしろ多いのは、直接「辞めろ」とは言わずに「自分から辞めるしかない」状態へと追い込むことである。

絶対にこなすことができないノルマを課し、これができない場合に「能力不足」を執拗に叱責するなどである。
あたかも仕事上の命令や訓練の一環であるかのように偽装しながら、追い込んでいく。

いじめ、嫌がらせ、パワーハラスメントによって、自ら辞めるように仕向けていく。

人間の破壊が極限まで進むと、権利行使の主体となりえないほど完全に破壊されてしまう。
職場のことを思い出すだけで、過呼吸になる、涙が止まらなくなる、声が出せなくなる。
徹底的に追い詰められた恐怖の経験が、彼らから法的な権利の主体であることを奪い去る。

そして、ひとたびうつ状態になれば、「辞めた方がいいのではないか」という「アドバイス」も親切なものに聞こえてくる。
苦しい状態から一刻も早く脱するために、「自己都合退職」の書類にサインする。

少しは冷静さの残っている者は、ここで「自己都合退職」の書類であることに一抹の不安を覚える。
だが、ほとんどの場合、雇用保険の不安を訴えるだけで、会社への疑念などは持っていない。
会社の対応の異常さにも気づきにくく、うつ病になるまで追い込まれてしまいがちである。

この手口が悪質なのは、健康を害することが副次的な悲劇としてではなく達成された目的として起きる点にある。
精神障害になることは初めから想定されているため、労働者が病気になるまで追い詰められたとしても会社は躊躇しない。

「戦略的パワハラ」の弊害は経済的にも生じる。
雇用保険を利用するとき、自己都合で辞めた人には3ヶ月間の受給制限期間が設けられる。
このペナルティを、本来受けるべきでない労働者が受ける。
雇用保険も受給できない状態で、うつ病で放り出されることになる。

もちろん、こうしたハラスメント自体は違法行為である。

法的には、命令や訓練の真の目的がハラスメントであれば、当然権利の濫用となるし、もし命令や訓練の目的が本当の営業目的だったとしても、そのやり方が過剰であれば、違法になりえる。

本来、退職勧奨はしつこく行ったり、やり方が暴力的であったりする場合、同意を求める「勧奨」とはみなされずに、退職強要であるとされる。

退職の強要に至った場合には、たとえ「同意」の形式をとったとしても、それは無効であるし、損害賠償の請求も可能だ。


===ここまで===


【参考】
よろしければ、以下も参考になさって下さいねー。


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posted by 西区地域労組 at 09:05| 知ってトクする!こんな話あんな話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする